私が河原デザインスクールに入ったきっかけは、大学4年生の時に、このまま卒業して就職してしまったら、 やる気のないダメな人間になってしまうと感じたからです。なぜそう感じたかといいますと、大学生活の4 年間で、私は何かに感動したり、人を心からほめたりすることができなくなっていたからなのです。
つまり、物事に対して、自分の気持ちを素直に表現できなくなっていたのです。そのために、ストレスがたま り、大学の定期検診で不整脈になっているといわれたりしました。そんな状況の中で、私は自分が夢中にな れるものは何か、感激できるものは何かと探しつづけ、それが、絵を描くこと、絵やいろいろな美術品を見 ることだと気づいたのです。以上のようなことがきっかけで、大学を卒業してからこのデザインスクールに 入学したわけですが、大学時代とは全く違う新鮮な空気が感じられました。
そして、何よりも、スクール生のみんなが、とても素直に感動する気持ちを持っていて、なおかつ、なかなか したたかな強さを持っているということが、私を驚かせ、エネルギーが満ちあふれていた高校時代を思い おこさせたのです。河原デザインスクールで勉強した2年の間に、私はだんだんもとの自分に戻っていきました。
ねじれかかった気持ちを修正することができたのです。デザインスクールでデザインの技術を学び得たことも 重要な経験だったのですが、それよりも、心のねじれが直ったことが私にとって、大切な出来事であったのです。
最後に、これまで私をささえてくださった 河原先生、小野先生、そして、素敵な仲間たちに.深く感謝いたします。
本科グラフィックデザイン科 武智京子