河原デザインスクールの色彩講座


サイトトップ色彩講座トップ > 色彩講座

河原デザインスクールの色彩講座D色の不思議な働き

前へ ■灰色の曖昧さが不安につながる 次へ


鳩羽ねず、千草ねず、藍ねずなど、何々ねずとねずのつく色の名には響きの良いものが 多く有ります。これらの色は、厳密には灰色ではないのですが、 少なからずの色みをもったグレイッシュな色は、品の良さと格調の高さが感じられ、高級感のある着物の色などによく 用いられています。

花柳界から発生した有名な流行色に「新橋色」という粋な青色がありますが、深川芸者の着物の色から流行した「深川ねず」は案外知られておりません。 今風に言うとオフグレーの色で、淡水色がグレーに溶け込んだような、しっとりとした中にも粋さを秘めた色をしています。

日本人は、優雅さを秘めた落ち着いた色に魅力を感じます。わび、さびを解する心が、このような慎ましい色を好むのかも知れません。 「灰色の人生」という言葉は、色みの無い灰色で、陰気で暗く不安を助長します。広辞苑によれば、灰とは「物の焼け尽くした後に残る粉状の物質」 とあります。形あるものが焼けて原形を失った状態は「灰燼に帰す」という言葉で表しています。視点を変えて眺めてみると、 明るいグレーは柔らかくて心を包むような色であり、暗いグレーには重厚さと落ち着きがあります。

グレーのスーツを上手に着こなした紳士はスマートでダンディですが、グレーの渋い味わいが作用しているからに外なりません。 「灰色」という言葉をから「疑い」を連想するのは、灰色の識別は、明暗の段階で行うので、その段階での曖昧で 識別しにくいことだと思います。この判りにくさが不安/不信/疑惑などの感情を表わす色の表現に使われているのでしょう。

又、悩みや不安感を抱えている時、お洒落をする気はなかなか起きません。おおかたの人はこんな時、 服を着るとしても つい色の無いものに手がいってしまいます。毎年三月になると確定申告に行かれるでしょうが、 何とグレーかそれに近い色の服を着た人の多いことか、こうした現象も不安感から無意識に服を選んでいるからなのです。


トップページ 資料請求 入学相談 学費 アクセス 生徒作品 サイトマップ 気軽にお電話ください 06−6453−4351 〒530-0001大阪市北区梅田1-2-2大阪駅前第2ビル2F